中小企業で年収1000万のおじさんマネジメント奮闘記

国立大卒・大企業経験も資格もなし(でも学びは忘れない)。キラキラした経歴でなくても、自社で存在感を増し年収アップするコツや現場で活躍される管理職の皆さんと共有したい課題などを記したブログです。

目標を下げたがる部下の話

組織というのは上層に行けば行くほど、自己マネジメント力が求められる。部下のマネジメントではなくて自己マネジメント?と思うかもしれない。

 

なぜなら時間で雇用され業務範囲や責任も明確に決まった仕事を日々与えられるアルバイトやパートと異なり、どんな小さなチームであってもマネージャになると部下を抱えることになるからだ。部下は想定どおりに動かないものなので常に計画変更と向き合っていかなければならない。そして、多くのマネージャが日々部下の行動管理だけではなく、プレイヤーとして担当案件を抱えていたり、他部署との計画実行なども担っているので、部下のマネジメントと個人の業務を並行して走らせるための自己マネジメント力が問われる。

要はマネージャとは個人案件とチーム管理のバランスをとりながら仕事を進めなければならない立場であり、それができると期待されている人たちだというのが前提。

 

なんだけど、このことを分かっていないマネージメント層は多くないだろうか?

彼らの口癖は

 

「与えられた業務のバランスが取れない」

「目標設定の妥当性は?」

だ。

 

先日、こんなことがあった。

①チーム内のメンバー育成

②外注先の確保

③業務Sへのジョイン

自らの担当案件と並行してざっくりだが上記のような3つの課題に取り組むマネジメント層の部下Mに対し、私は①については業務マニュアルの作成(1年かけて)②については30件、③について65% という目標設定した上で面談を行った。

 

こちらの意向を一通り伝えた後、彼は「業務のバランスをとるのが難しい」「目標設定が妥当と思えない」と弱気な姿勢を見せ③の目標数値を65%から63%にして欲しいと言ってきた。

(こいつ自己マネジメントの概念わかってるのか? たった2%下げることになんの意味があるのか、舐めてるの???)と思ったが、いろいろ話して分かったことは、彼の中では目標設定とは「達成できる見込みが高いと思えるものであるべき」だと思っているということだった。

 

私は目標とはどこを目指したいのか姿勢を示すものであり、基本的には高い方がいいと思っている。というより、目標はある意味達成できないものでないと意味がない。達成できないからこそ、振り返った時に改善点も浮き彫りになるし、次の創意工夫が生まれるからだ。つまり継続した成長のために必要なもの、それが目標。精緻な妥当性はあまり意味がない。ビリギャルのように偏差値38で東大を目指してもいいのだ。

 

では何故Mは達成の見込みが高いものを目標にしたがるのだろうか。

成長意欲がないのだろうか?ハートがチキンなのか?

それもあるかもしれないが、私はもしかしたら

 

目標設定と査定を混同している?のかもしれないと思った。

 

つまり目標達成しなかったら査定や給与に響いてくるから、

目標はできるだけ低くして必達した方が良いと。。

 

当然、目標設定と査定は別だ。

査定はあくまで成果ベース。目標が高かろうが低かろうが、最終的には与えられた課題に対してどんな成果を出したかでジャッジされるべきだ。

 

もし査定と連動させるなら、目標は与えるものであり、自分で設定させてはいけない。

 

私はMのようなマインドを持つ部下がいる背景には2つの要因があると考えている。

一つは、そもそも経営者自体が目標設定していないということ。まさに当社でも年間の売上げ目標を経営者自身が示していない。だから中間層である私や他部署のリーダーもそれぞれに目標を立てて動いており、目標は自分が立てるものだという認識が染み付いていた。そして部下に対しても目標は「与えるもの」ではなく、「立てさせるべき」で、それがトップダウンではなくボトムアップで社員の自主性を重じることなのだと考えたり、一方では自分が立てた目標なんだから、できるんだろ?という態度で接している上司を生んでいた。

 

もう一つは給与テーブルや等級がないということ。レベルの低い話で恥ずかしいが、当社にもそれはない笑笑

多くの中小企業も同じような気がするが、どのような成果を出せばどのような報酬になるのか明確な指針がないのだ。目標を与えず自分で立てさせてといて、明確な給与テーブルがないとなると、そりゃ、みな高い目標を立てづらくなるのもわかる。

 

目標は上司から与えて、成果に対しては明確な給与テーブルで示す。

言うほど制度設計は簡単ではないが、私はまずは自分が管轄するチームからでも少しづつ取り組もうと思う。当社と同じような環境の方々にもぜひ振り返ってみて欲しいと思う。