中小企業で年収1000万のおじさんマネジメント奮闘記

国立大卒・大企業経験も資格もなし(でも学びは忘れない)。キラキラした経歴でなくても、自社で存在感を増し年収アップするコツや現場で活躍される管理職の皆さんと共有したい課題などを記したブログです。

意識改革を叫んだり、2階層下の部下と口論する役員たち

先日、取締役Iとその2階層以上下にいる支社長Aが口論となった。きっかけは支社長Aの売掛未回収であった。

 

Aは前期に回収すべき売掛を回収できずにいて経理兼役員のKからいつになるのか再三詰められていた。そのなかでA自身で設定した回収期限もKと共有していたが、それも過ぎてしまい、その謝罪や報告もKに上げていなかった。Aは普段からホウレンソウが行えないところがあり、セールス能力は高いのだが正直経営陣からの信用が低かった。

 

営業部長である私は、いいかげんAに回収させるように経理Kに頼まれた。

Aに話を聞くと、その件は今は別担当Mに引き継いだという。引き継いだ?いつ?私は最初困惑したが、とりあえず回収を急ぐため後任Mと話を詰め、1週間後には無事回収を果たした。その後、AにMに引き継いだってことは経理と共有できていたの?と確認すると返事は曖昧だった。「経理Kからすると、ずっと担当者がAである認識で対話を重ねてきたのに突然担当者がMになると伝えられたら困惑するのは当然だし、売掛は請求書を発行した担当者が最後まで責任を持つべきである」と伝え、部内でも途中で売掛を引き継ぐことはNGであるとルール化した。

 

 

ところが、これで一件落着したと思っていた矢先のこと、事件が起きた。

この件をきっかけに、取締役IとAが口論になったのだ。

 

取締役IはAの所属先に別件で訪問した際に、フランクに「で、この前の売掛の件はどうしたの?」と話題に出した。たぶん、裏では普段から責任感のないAに対して意識を改めさせたい気持ちがあったのだろう。

Aも最初は申し訳なかったと詫びをしつつ雑談が進んでいったらしいのだが、途中でAが「ただ、私だけではなく営業部にはかねてから売掛問題があるのに経理としては何か対策がないものなんですかね?」と自分の未達を棚に上げた発言をした。

 

「は?なに?じゃあ、会社が悪いんだ?」

と取締役Iは鼻息あらく、本件以外のAに対する不満も挙げて攻撃した。

Aも「回収できなかったのは申し訳ないといってるじゃないですか。ただ経理経理で何か対策考えてほしいっていってるんですよ」と反論し、結局物別れに終わった。

 

私はこの口論をAから後に聞いただけなので、表向きには知らないことになっているのだが、私=営業部長としても、売掛回収できなかったことを経理Kに謝罪しつつ、今後は例えば3か月以上残っている売掛処理の責任者を担当者から営業部長である私に委譲するなど、仕組みを変えていきませんかと提案した(現在は基本最後まで担当者に回収させようとしていたので)。

 

が、ここでの経理の返答が私を困惑させた。

「その前に個人個人の意識改革が大事です」

 

「約束を守るというのは人として最低限のやるべきこと。意識の問題です」と・・・。

 

意識改革か・・

実はこのワード、当社の役員は事あるごとに口に出すのだが、いつも具体的な行動はなく終わっていた。

 何か科学的なメンタルトレーニングを実施するとかならまだ分かるのだが、いつも最後は人として問題だと言って終わる。

 

いや、気持ちとしてはわかるんですよ。だらしない人、厳格な人、意識高い系と呼ばれる人いろいろいますからね。でもね、意識改革によって売掛回収率上げたり、失念を防ぐことって、実際どうやるんですかね??そんなことより、期間を決めて責任を出来ない人からできる人へ委譲していく仕組みにするほうが楽に成果につながりませんかね?(もちろん個人の成長も大事なのでできないからといってすぐに仕事を奪うわけにはいきませんが)

 

大体、そうやって意識改革とかいう人は、ご自身は素晴らしい意識があって高いパフォーマンスを発揮しているとでも思ってるのでしょうか?そもそも意識高い人の定義は???

 

取締役Iと支社長Aの口論が生じた原因も、取締役Iはまさに意識改革しようと組織図の職責や指示系統を無視して(今回でいうと経理と営業部長を飛び越えて)現場担当者に直接カツを入れにいったからだと思ってます。意識を重視するほど人ほど、人と向き合うマネジメントに走り、仕組みがする為に頭を使わない。

 

私には「意識改革を重視する経営陣」と「責任と権限を与えながら組織運営できない経営陣」には強い相関性を感じるし、このような組織マネジメントは不健全に感じるのです。

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私にとってマネジメントとは個々の意識を変えるというよりは、どんな仕組みを作れば成果が出るか?を考えることであり、人の意識はその過程で変われば良いくらいにしか考えていません。

 

皆さんは意識改革で成果を上げていこうとする組織どう思いますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組織内外の相談系統について覚えておきたいこと

当然の話だが、自社も顧客も取引先もそれぞれ組織であり、案件や役割によって担当者や責任者が存在する。だから何か確認事項があるときはその内容に合わせて担当者を把握し、その人に相談しなければならない。

 

その際、特に注意したいのが自社以外の組織への相談である。

先日、我が社の新人さんKが、取引先A社の担当Tさんに、とある相談を直接もちかけた。Tさんにしてみれば、それは弊社担当者Nに契約時点で説明し了承も得ている内容であった。

 

ところがKさんは中途採用だったので、本件に関して当社とA社の業務の棲み分けの理解が浅く、直接A社のTさんに聞いたほうが早いと判断した。もちろん、TさんはKさんからの質問に「Nさんに確認していただくように」と回答した。

 

結果、社内の情報共有不足がA社に露呈したり、最初からNさんに確認すべきことをTさんに質問したことでKさんの行動に無駄が生じた。このようなことはよくある話な気がするし一回の出来事ではさほど気にならないかもしれないが、積もり積もると年間でどれだけの無駄が生じているのか。。

やはり新人(特に社会人としてのキャリアが浅い方)には組織同士の相談や連絡系統について基本を教えておきべきだろう。

 

今回、Kさんが取るべき相談して系統を図に表すと以下の図の①の通りになる。

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そして、取引先だけでなく、自社内(②)での相談系統も基本的には同じ。どんなに他部署のスタッフと仲良し出会っても自分の所属するチームの上司を飛び越えてはいけない。もちろん、自分が窓口として職責を与えられている場合は③④の通り顧客と直接やり取りしても良い。

 

ところが、経験上(正しいことかどうかはわからないが)例外的に相手の担当者を超えて、その上司に相談が許される時がある。

 

それは、担当者を変えてほしいときだ。

 

仕事を進めるにあたって先方の担当者自体が不都合になっているのであればそれは配置において責任を持つその方の上司に相談するしかないと思う。

もちろん、それは最後の手段であり、基本的にはこちらも何とかうまく進めていく努力が必要であることは前提である。が、レスポンスが遅くて計画が進まないなど、どうしても不都合が生じる顧客もいる。

 

ただ、その場合でも基本は、自分が相手の上司に直接相談を持ち掛けるのではなく、自分の上司を通して相手の上司に相談を持ち掛けるのが筋だ。

 

ダイレクトにいけばいいじゃん!って思うかもしれないがマネジメントを始めて組織を理解すると、それは違うと言うことが分かるはずだ。

 

 

 

 

期限内に仕事ができなかった部下の行動

与えた仕事をこなせなかった部下が取る行動には次の2つパターンがあるように思います。

 

①期限後に申し訳なさそうに「できませんでした」と申告してくるパターン

②期限過ぎても報告してこず、上司から「あれどうなった?」と聞かれてはじめて出来なかった理由や詳細を話す部下

 

部下には、まず①より②が評価されない事をきちんと教えなければいけないと思います。

①は自ら報告していると言う事は課題にコミットはしているが進め方が悪く完遂出来なかった。②は最初からコミットしてない可能性が高く、進め方の問題以前に組織内の自分の役割に対する理解が乏しい。

 

たとえ最初はやる気だったが、やって行くうちに

・他にもやるべき仕事があるんだからできるか!

とか、

・難易度高いし、誰も丁寧に教えてくれないんだから、出来なくて当たり前や!

と、自己責任から他者責任に代わったのかもしれないがいずれにしてもダメだ。

 

部下は途中どんな事があっても与えられた課題に最後まで責任を持たなければなりません。が、その過程で障壁が発生したなら上司にヘルプを出す事はもちろんオッケーです。

 

ところが実際現場では、上司も忙しそうにしてて質問しづらかったり、いざ質問すると自助努力が足りないと言われたりで、空気に敏感な部下達は中々行動出来ないものです。

 

だからこそ。

上司は部下に空気を乱してでも、周りの人の力を借りてでも、自己責任で完遂させることを教えつつ、同時に部下からの質問には可能な限り理屈で教えなければならないと思う(再現性を持たせる為に。感覚ではなく)。

 

そうすることで、その上司が一見面倒な理屈ジジイであっても部下はその上司を信頼してとことんまで質問し与えた課題に真剣に取り組むのだと思ってます。

 

上司は決してその場だけのいい人にならない様に。

 

目標を下げたがる部下の話

組織というのは上層に行けば行くほど、自己マネジメント力が求められる。部下のマネジメントではなくて自己マネジメント?と思うかもしれない。

 

なぜなら時間で雇用され業務範囲や責任も明確に決まった仕事を日々与えられるアルバイトやパートと異なり、どんな小さなチームであってもマネージャになると部下を抱えることになるからだ。部下は想定どおりに動かないものなので常に計画変更と向き合っていかなければならない。そして、多くのマネージャが日々部下の行動管理だけではなく、プレイヤーとして担当案件を抱えていたり、他部署との計画実行なども担っているので、部下のマネジメントと個人の業務を並行して走らせるための自己マネジメント力が問われる。

要はマネージャとは個人案件とチーム管理のバランスをとりながら仕事を進めなければならない立場であり、それができると期待されている人たちだというのが前提。

 

なんだけど、このことを分かっていないマネージメント層は多くないだろうか?

彼らの口癖は

 

「与えられた業務のバランスが取れない」

「目標設定の妥当性は?」

だ。

 

先日、こんなことがあった。

①チーム内のメンバー育成

②外注先の確保

③業務Sへのジョイン

自らの担当案件と並行してざっくりだが上記のような3つの課題に取り組むマネジメント層の部下Mに対し、私は①については業務マニュアルの作成(1年かけて)②については30件、③について65% という目標設定した上で面談を行った。

 

こちらの意向を一通り伝えた後、彼は「業務のバランスをとるのが難しい」「目標設定が妥当と思えない」と弱気な姿勢を見せ③の目標数値を65%から63%にして欲しいと言ってきた。

(こいつ自己マネジメントの概念わかってるのか? たった2%下げることになんの意味があるのか、舐めてるの???)と思ったが、いろいろ話して分かったことは、彼の中では目標設定とは「達成できる見込みが高いと思えるものであるべき」だと思っているということだった。

 

私は目標とはどこを目指したいのか姿勢を示すものであり、基本的には高い方がいいと思っている。というより、目標はある意味達成できないものでないと意味がない。達成できないからこそ、振り返った時に改善点も浮き彫りになるし、次の創意工夫が生まれるからだ。つまり継続した成長のために必要なもの、それが目標。精緻な妥当性はあまり意味がない。ビリギャルのように偏差値38で東大を目指してもいいのだ。

 

では何故Mは達成の見込みが高いものを目標にしたがるのだろうか。

成長意欲がないのだろうか?ハートがチキンなのか?

それもあるかもしれないが、私はもしかしたら

 

目標設定と査定を混同している?のかもしれないと思った。

 

つまり目標達成しなかったら査定や給与に響いてくるから、

目標はできるだけ低くして必達した方が良いと。。

 

当然、目標設定と査定は別だ。

査定はあくまで成果ベース。目標が高かろうが低かろうが、最終的には与えられた課題に対してどんな成果を出したかでジャッジされるべきだ。

 

もし査定と連動させるなら、目標は与えるものであり、自分で設定させてはいけない。

 

私はMのようなマインドを持つ部下がいる背景には2つの要因があると考えている。

一つは、そもそも経営者自体が目標設定していないということ。まさに当社でも年間の売上げ目標を経営者自身が示していない。だから中間層である私や他部署のリーダーもそれぞれに目標を立てて動いており、目標は自分が立てるものだという認識が染み付いていた。そして部下に対しても目標は「与えるもの」ではなく、「立てさせるべき」で、それがトップダウンではなくボトムアップで社員の自主性を重じることなのだと考えたり、一方では自分が立てた目標なんだから、できるんだろ?という態度で接している上司を生んでいた。

 

もう一つは給与テーブルや等級がないということ。レベルの低い話で恥ずかしいが、当社にもそれはない笑笑

多くの中小企業も同じような気がするが、どのような成果を出せばどのような報酬になるのか明確な指針がないのだ。目標を与えず自分で立てさせてといて、明確な給与テーブルがないとなると、そりゃ、みな高い目標を立てづらくなるのもわかる。

 

目標は上司から与えて、成果に対しては明確な給与テーブルで示す。

言うほど制度設計は簡単ではないが、私はまずは自分が管轄するチームからでも少しづつ取り組もうと思う。当社と同じような環境の方々にもぜひ振り返ってみて欲しいと思う。

 

 

環境を整えて計画を示すと動き出す部下

当社には日々の予定やプロジェクト、社内発注等を社員で共有、管理しているプラットフォームがある。

 

とあるソフトを独学で学んだ社員Aが作り上げものだ。

 

しかしこのプラットフォームは、その後あちこちの部署やメンバーから散発された改善要望にAがコツコツと改善を重ねた結果、継ぎ接ぎだらけの着物の様なボタンだらけのインターフェースとなり、古株の社員以外はその機能の大半を理解できない、使いづらいものになってしまった。

 

もちろん、それでも無いよりはマシなのだか、私としてはちょうど部の組織マネジメントに必要なデータを収集しやすい仕組みも検討していて、日々の業務情報が集約されているこのプラットフォームも活用したいと考えていたので、使い勝手の部分から改善に向けて音頭を取ることにした。とは言っても私自身はこのソフトやプログラミングの知識はないため、やったことと言えば各管理層に今後のマネジメント計画を考えてもらい、それと照らし合わせてこのプラットフォーム全体の機能の取捨選択や改善点を議論する場を作り、共通理解の元で進行するスケジュールを組んだだけだ。

 

メンバーは、営業部長の私、開発者A、営業部支店リーダーB 、C、D、製造部門の管理者のE。日頃それぞれの立場で散発していた改善要望も、こうしてそれぞれの部署や部内のビジョンを共有して議論することで、「この機能はお互いの部署にとって今後要らなくなるから今のうちに削除しよう」「新人教育の為にこんなデータを日々入手したい」など、全体最適に向けた意見に変わった。私はその上で最後に優先順位を決めて開発者と計画に落とんだ。

 

で、私が感じたのは、世の中、会議ばかりで時間の無駄を感じているビジネスマンが多いと聞くが、中小企業の私は寧ろ逆。プレイングマネージャーとして日々実行の連続で会議はほぼ無く計画性に欠けていた。計画が無いから、マネジメントの価値も理解できず、何かあるとマンパワーを頼りに場当たり的に凌ぐ組織運営だったのだ。継ぎ接ぎのプラットフォームはまさにその象徴だ。

 

そして、マネジメントは少なくても当社では投資だと思った。と言うのも、マネジメント時間を確保する為には一定業務を外注しなければならず、日頃何でも内製化する事に慣れていた当社にとっては短期的にはコスト増となり、多くのスタッフにとっても違和感があったからだ。

 

レベルの低い話かもしれないが、経営計画に照らし合わせた各部署の日々の目標、年間の目標、数年後の目標とそのマネジメントは、継続して組織を成長させる重要なもの。しかし、上司からマネジメントされている感覚のない人や、そもそもトップから計画が示されていない中間管理層も多くないだろうか?管理者が目標達成に向けた計画策定とマネジメントをしなければ現場は基本的に黙々と日々同じ仕事をするだけになる。

 

現場の人達はマネジメントという言葉は嫌いかもしれない。マネジメント=管理されている=不自由、奴隷みたいなイメージがあるからだ。でも、組織全体で見たらマネジメントが効いている事は、ある意味計画が行き渡っているので、良い会社だと思う。

 

そして、もし今いる会社でマネジメント効いてないなと感じた人で、部下を一人でも抱えている立場ならそれはChanceだ。その一人の部下のマネジメントを通して、上司の行動や意識を変えさせ、マネジメントの価値を会社全体に理解させる事で自分のプレゼンスが上げる事もできる。

 

中小企業だからこそChanceがあるのだ。